お産中の対話、色々
純:私たち助産師は
赤ちゃんが元気かどうかは
色々な診察をして判断するけれど、
赤ちゃんがどんな気持ちで
そこにいるのかはわからない。
実は色んなパターンがあるじゃないですか。
もう全開して産まれてもよさそうなところから
全然出てこない子がなんでそこに留まっているのか。
それが例えばママとのリズムが合わない、
陣痛が弱くなっちゃうから出てこれないわけだけど。
もしくは産道が狭くて本当にここでいいの?と
迷ってしまったり、びっくりしたとか、回り方忘れちゃったとか。
山:いましたね、そういう子たくさん(笑)
純:心音下がっても、自分は大丈夫、産まれるって言ってる子もいれば
助けて欲しい、病院に行きたいと言ってくれることもある。
とにかく言ってくれれば(助けられる)。
そうするとめっちゃ楽じゃないですか。
なんかカンニングしてるみたい(笑)
山:カンニング(笑)
今までは助産師さんのある種経験値と直感力?洞察力?
そういったことに頼りきっていた部分ですよね。
純:そう。
山:すごい重圧。
純:そう。
山:赤ちゃんとのやり取りは出来るものというスイッチをオンにしておくと、
助産師さんの仕事の助けになる、ということですかね?
純:そういうことです。
最初は山内さんが(お産の現場に)
来てくれて、対話をやるのを見ていて、
だんだん(赤ちゃんの困っている)パターンが見えてきた。
山内さんを呼ばない時も、
心音下がってる時は、
ちょっとこのへん狭いからびっくりしたねーとか、
大丈夫だよそのまま来ていいんだよとか、
まだ顎引いたままだよ、とかもうちょっとしたら下顎あげようねとか、
背中が左にある時は右回り、とか
右にある時は左回りとか言ってあげるとほんとにスッと出てくる。
前にね、あるミュージシャンの女の人がお産中に
右回りだよって赤ちゃんに話かけたら順調に産まれたと、
YouTubeでやってたんですよ。
赤ちゃんに話しかけて安産になるならいいよねと、
コメンテーターの人たちも絶賛していて。
でも、この人の場合は右回りだったけれど
そうじゃない子もいる。
その人の講演を聞きに言ったお客さんに
右回りとしか伝えてなかった。
それがちょっと残念。
そこはお産のプロじゃないから、
右回りの意味がわかっていない。
山:自分の子は逆向きをしてたってことなんですね。
そこを捉え間違えるといけませんね。
そこは正しく話していかないといけない。
純:その子がどういう状況でどういるのか。回るんじゃなくてまず顎を引くんだよって言って右に回るとか左に回るとか教えてあげないと。
山:なるほど。
じゃあ一応この1年間の、お産現場の対話はガイドラインとして、
役目を果たせたということでしょうか。
純:はい。
山:よかった~。
純:ひまし油(お産のときに飲むと腸や子宮を
柔らかくする効果があると言われている)のことも、
前は自然にお産するのにはどうなのって思ったけど、
赤ちゃんがこのタイミングで産まれたいから
何かきっかけが欲しいと思っている、
赤ちゃん側からの要求が
自分のやってることの裏にある‥うまく言えないな‥
山:先生の手の中にあること、それのどれかを
赤ちゃんが望んでいる?
望んでいるものがはっきりわかる。
純:そうそう。
山:そういうコンタクトが取れることは、
お産を介助する側にとっては安心ということ?
純:安心もそうだけど、一方的にやるんじゃなくて、
赤ちゃんと話し合いが出来ることがすごくいいですよね。
もう明日病院に行かなきゃダメっていう週数になったときに、
どうしても今日産まれてきて欲しいことを赤ちゃんに話して、
ひまし油をママに飲んでもらうから、
タイミングで陣痛起こしてきてね、って。
山:なるほど。それはお産にとって「対話」はとても有効だと。
純:有効ですね。
山:それから、誰の心も傷つけない。
赤ちゃんを何もできない人という概念ではなく
その人にはその人の力があって、
それを最大限に活かして産まれてくるんだという尊重が出来る。
純:その手助けをやるっていう。
医療、ひまし油、助産師皆でただ応援する、
いろんなリクエストに沿うことが出来る。
結果的に赤ちゃんも元気に産まれてきてくれて、
お母さんも満足して。
例えば病院に搬送されるようなお産でも、失敗ではない。
ああ、自然に産みたかったのに産めなかった。
病院に搬送されちゃったからダメだったんだとかじゃなくて、
それは実は赤ちゃんが冒険したかったからだったんだって。
山:いましたね~!
純:赤ちゃんがそういう体験をしたいっていう
ところから行くわけだから、恨みにならない。
最大に良かったっていう。
こういう誕生が学びなんだと
人生のスタートができるのは
赤ちゃん、お母さん両方にすごく満足いくもの
なんじゃないかと思うんです。
山:私も色んなケースを体験させていただいて、
対話が持っている可能性が
思っている想像を超えていたというのがすごくあって。
全く違う方向へ動いていったのが実感です。
人が持っている、内在している自分の命みたいなものに
対する印象が全く変わりました。
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